詩をおいておくところ

1984年生まれ。詩を書いては残しします。

生きている

今になってすべてが黄金色にみえるよ

足元からのびた道はぼくのハートにつながってる

今になってすべてがはじまりにもみえるよ

ぼくたちはとしをとらない永遠のうたごえ

ふと泣きたいような鮮やかな夕暮れ

ハートをたぐればだれかきっと抱きしめてくれるだろう

ぼくの身体はあたたかいよ

みんなきっと暖かいよ

生きている証をおみせしましょう

 

今になってすべてが黄金色にみえるよ

ゲームオーバーの後に続く長い長いストーリー

世界の人が平和でありますように

今日は世界中の涙が乾きますように

 

くうき

空気になりたいな

透明になってさ

なにもなくなってさ

ハーモニカをたすけてあげるんだ

 

空気になりたいな

なにもなくなってさ

いいところで思い出せなくなって

それも思い出せない

透明はきれいだぜ

 

空気になりたいな

どこまでもいってさ

どこにもいってないけど

もうなにもないからそれでいいのさ

あんたねぇ

いや私は目が見えないんで姿がわからないんだが

あなたの身体に穴があいてやしないかい

触れたわけじゃないが

そういまかんじたのさ

痛みはないようだが

ずいぶんながいのかい

 

馬鹿だねえ自分の身体もまもれないようじゃ

北風が穴から出てひゅうひゅう音を立てるじゃないか

南風が吹けば海からの湿気でたちまち身体は腐るし

そっからだいじなものが今も転げ落ちる音がするよ

ちゃりんちゃりん

しゃりんしゃりん

ことんごとん

しゃりんしゃりん

 

目の見えねえわたしからすりゃなかなかなぐさみになってよいが

次々落ちていく音がするたびに

あんたの目ん玉がくらやみになってくるのがわかるようだよ

俺の見てるまっくらのがよっぽどあったかそうだな

こんな言い方しちゃあれだが

あんたはかわいそうなひとだね

人は退屈なときに取り出して遊ぶ思い出ひとつくらいもつべきだよ

それにしても

楽器や言葉にあんたは長けているが

おりゃあんたと話してると

穴ぼこに話してるみたいでさびしくなるよ

らっぱ

昨日はらっぱになる夢をみた

 

おれはこころない天使になって

 

綺麗な場所でも

 

汚い街でも

 

なにも思わず天空のうたをうたうのだ

 

寂しさときよらかさの混じったこのうたを

 

説明する言葉をおれはしらない

 

こんにちはをしらないから

 

おれはさよならをしらない

 

昼のひかりをしらないから

 

ほしぞらもしらない

 

澄んだ湖に落ちた羽虫を

 

息で岸辺までながしてやる

 

運命からはずれた壊れたらっぱ

 

明るい調子はずれのこわれたらっぱ

 

 

逆さの日記

病院の廊下には朝の青白い日差し

 

僕は泣いている人や神妙な面持ちの人に囲まれながら息をしている

 

それもだんだん苦しくなってきて

僕は今までずっと息をしていたんだな、と思う

そしてしばらく薄明かりだけの夢を見て

ふっつりと僕の命は途絶える

手や足から温かみが抜けて行って

温められたよろこびや

温めた嬉しさも消え失せる

随分わかかったね、などの声を聞きながら

祖母に夏の祭りに連れていってもらったことを思い出しながら突然全てが無くなる

 

思えばいままでぼくはなにをしようとしていたのだろう

必死になって何か集めて大事にしては

最後の最後にはこの世にすべてを返却しなければいけない

肌理の細かい砂をすくいあげてざるに入れていくように辛いことも大事なことも一定の名残のあと過ぎ去ってゆく

愛や心配などといってその人が都合のよいほうに留まるわけでなく

人は水のように淀むなり腐るなり流れゆくなりした

思い出だってそうだ

永遠だと思っていた日々も遠く昔、いまはおぼろげなイメージしかない

物質もまるで砂浜に置いた貝や石のように、刺激を受けては時間の波に流されていった

 

僕たちは、僕たちはそれぞれ一定時間を有したタンパク質や水分等にくるまれたいのちであった

その身体そのものが人生あるうちたったひとつの財産で、それら同士が心を通わせていたのだ

 

すさまじい驚きだ

すさまじい驚きだったのだな

なごりおしいな

 

僕は第3銀河系の星すべての数とちょうど同じ数、心臓を動かした後死んだ

 

僕は僕をまだしらない

人の口

目鼻手足が

だんだんに

山や星に見え

ありがたい

 

運命は

ほほえみながら

教科書を

なげつけるよう

手渡した

 

死に際に

あえてよかったと

いいたいな

 

そういえば

あなたのことばで

今がある

時は触れぬ

わらかぬと

まどろんでいては

だらしない

 

蛍の光

窓の雪

さざめく心も

今は止み