詩をおいておくところ

1984年生まれ。詩を書いては残しします。

紙でできた牛 その2

僕は天才的に不用意だ。
海外の道端でも平気で寝る。
トランジットで過ごしたハノイでおばあさんにすごくイージーに50ドル盗まれた。まあいいや。
ルアンパパーンを過ぎて、随分経つ夕暮れ間近の山道で目を覚ました。
膝の上にありったけのマンゴスチン
隣のおばさんが置いてくれたらしい。薬、随分効いたのでうれしかった。食べてね。ということらしい。うれしい。
夕暮れが刻一刻と迫るとみんな不思議なくらい黙りこくる。
祖国の歌をトランジスタラジオでかけて大合唱してたラテン人も、なにやらこれを買ったこの布を見て、と話し合う黒タイダム族のおばさんも黙りこくる。
バスの中は寝息と土埃の香りと夕日とすごくイージーなラオスのポップスとラジオから流れるラテンミュージックで満たされる。
どこにも心の座標を決めかねてるうちにふいに平和な心に包まれているのに気づく。
バスの中は夕日で真っ赤。
まるで人間すべて太陽のもと、子宮の中で育った事を思い出させるかのような感動的な景色。
なにもかもないまぜの中、全部完璧なシチュエーションで二度と戻らない時間は過ぎていく。
世界にキスしたいくらいピースな時間も過ぎて段々夜がくる。
途端にみんなだれてくる。
はやくお布団でねむりたい。